人は人とのつながりの中で生きているものだから生活も仕事も、
おおかた独りで行動していると、自分がどういうものかわからなくなる時がある。
秋が近づいたころ「そうだ、そろそろ旅をしよう」とふと思い立ち、
その行き先を昨年ヨーロッパを回った時に、中で一番、気に入ったスペインに行くか、
4.5年前に行って感涙を流した屋久島にしようか、それとも以前2週間の断食に挑戦した
淡路島にしようかと迷っていたところ、「屋久島ならば行ってみたい」という友人が
数名いた。当然に一人旅になると思っていたので調子に乗って、
一緒に断食をしに行かないかと言ったら、全員から断られた。
そんなわけで総勢5名の屋久島の旅となりました。

前に屋久島を訪れた時には
早朝から一日を掛けて縄文杉まで
雨の降る屋久島の山を登って
それはそれなりに辛くて私には過酷で
帰り道などはひとことも口を利かず
雨と涙に周りの景色も滲んで見えた程で
それでも終わってみれば、やり遂げた
事への達成感と深い森の神秘に感激し
いつかまた子供達や大切な人が出来た時にはこの風景と感動を味あわせたいと
真剣に思って、再び訪れる日を強く願って、時に屋久島の森を思い過ごしておりました。
残念ながら特に大切な人との出会いはなかったけれど、気の合う友人たちのおかげで
2度目の屋久島行きが今回のことで、案外すぐに叶うことになりました。
が、屋久島のメインイベントである縄文杉までの過酷なトレッキングの希望者は
ひとりもいなかった。貧乏性の私は屋久島まで行ってそのコースを省くのは残念だけれど
結局、白谷雲水峡の森を歩く2~3時間の半日コースと4~5時間の一日コースの
2つに分かれてツアーに参加することになりました。
ここでひとりで縄文杉コースを選択することも出来たけどせっかく友達との旅。
一緒に歩けるなら、そのほうが絶対に楽しそうなので縄文杉は諦めた。

結果的には、以前から老化も数年分きっちり進んでいたので、森の一日コースで
翌日、足の筋肉痛でひーひー言っていたのは私が一番だった。
3日間の旅の間、こうして他人と行動することになった。今までならば意見が合わないことや、人の言動や行動が気になる質と思っており断然一人旅派であったし
誰かと行くにもせいぜい2人旅で
集団行動は苦手だったのだけれど、
今回、終始、平和で穏やかでひたすら楽しかった。
集団生活の心地よさというのもあるもんなんだな、というのは初めての気づきだった。
人間、加齢とともに鈍くなるのか、こだわりがなくなるのか、まさかの成長なのか
屋久島パワーのおかげなのか、どうしてかはわからないけれど、快適だった。
自分という者がどんな人間なのか、人とのかかわりの中で気づくことは多い、というか
ずっと一人で行動していては気が付きにくい。
人間関係に悩んだ社会生活の日々も今となっては糧になっていたのだな。とか
家族や友人との関りも時間とともに自然に変わっていくのだろうな。とか
そんな今更なことを一人の部屋に戻ってきて改めて感じている。
なにはともあれ屋久島は素晴らしいところなので、行ったことのない人は
是非、訪れてみてほしい。日本の絶景がたくさん見られます。
私の子供達にも、あの縄文杉までの道のりを一度は泣きながら歩いてみてほしい。
君たちは覚えているかわからないけど、いつか一緒に行こうねと約束したよね。
母は見送り役に回るけど、3人で仲良く行ってきてね。